
私達にとって、ものをおいしく食べることは、終生の欲求です。
そしてその欲求を満たす“臓器”としての歯を作っているのが歯科技工士です。
歯科医師の指示に従って、入れ歯(義歯)、さし歯、金冠や歯ならびの悪いものを正しい位置にするための矯正装置の製作、修理にあたるなど、歯科医療の一端を担う、近代歯科医療においては欠かせない医療技術者です。少しでも歯に食べ物が引っかかったりすると、違和感が残りとても不愉快なものです。そのような敏感な口の中に、義歯や冠(クラウン)を天然歯と同じように作るわけですから、歯科技工には高度の技術や学問の習得が要求されます。

本校の学科および実習の全課程を修了した者は、厚生労働大臣の定める「歯科技工士試験」を受験することができます。
内容としては、知識の審査のための「学説試験」および技術の審査のための「実地試験」の二つの試験が毎年1回、2月下旬に2日間にわたる日程で、各都道府県を単位とした会場で行われています。
この試験に合格すると、「合格証書」が発行されます。その後、この合格証書と免許申請の必要書類を住所地の保健所に届け出をして、「厚生労働大臣の歯科技工士免許」を取得することができます。
平成6年度の卒業生から「専門士(医療専門課程)」を称することが法の改正により認められ、卒業証書にその字句が明記されています。そして、いよいよ晴れて”歯科技工士としての第一歩”を踏み出すことになります。

■歯科診療所(歯科医院)
私たちの歯を診療してもらうところが、主として歯科診療所です。歯科診療所では、歯科医師、歯科衛生士、そして歯科技工士が、それぞれ仕事を分担して歯科
医療に従事しています。
■病院
歯科大学の附属病院や、歯科を設置している総合病院では、歯科技工室が設けられ、歯科技工士が仕事をしています。病院は歯科診療所に比べ、特殊な処置を必要とする患者が多いため、技工物も多岐にわたり、高度な技術と知識が要求されることが多々あります。
■歯科技工所
歯科技工所とは、歯科診療所から技工物を受注し、それを製作して納品する作業を行うところです。規模や作業内容などはさまざまですが、歯科技工士の資格があれば歯科技工所を開設することができます。
■歯科器材メーカー、歯科材料関係企業
歯科技工士になるために学んだ知識や技術を生かし、器材の開発や研究をすることで、より良い製品を生み出し、間接的に歯科医療に貢献することもできます。歯科技工士の活躍の場は、診療所や技工所以外にも広がっています。
■教育機関
次の世代の歯科技工士を育てるために、豊富な知識と高度な技術を身につけ、教育機関に就職する人たちもたくさんいます。しかし、「人材を育てる」ということは大変なことであり、なによりも「教える」ことに情熱をもっている人が必要とされています。
上記のほか、国内だけでなくアメリカ、カナダ、オーストラリア、そしてヨーロッパなど、海外で活躍している歯科技工士がたくさんいます。世界的に有名な歯科医師のオフィスには、必ず日本人の歯科技工士が働いているといっても過言ではありません。日本人の歯科技工士はたいへん優遇され、高所得を得ています。また最近では、とくにアメリカ、カナダを中心に、日本人の歯科技工士が歯科技工所を経営しています。
どんな人が歯科技工士にむいているかというのは、大変難しいことです。
歯科技工士は、仕事をする上で彫刻刀をはじめ多くの器具を用います。したがって、「エンピツが削れない」「リンゴの皮がむけない」といったことがハンデになることは否定できませんが、どんな職業でも「努力に勝る天才なし」ですから、一つひとつ地道に知識と技術を身につけることが大切です。
歯科技工では、芸術的な意味での技術よりも科学的な知識に裏打ちされた丁寧で正確な技術が必要とされます。入れ歯や冠などの義歯は生体の一部となる人工物(人工臓器)ですから、生体に害のない衛生的な製作物でなければなりません。そのためには、知識も技術も『精確』(精密で確かなこと)なことが重要となります。
